2024.01.25
開口部
設計を一から自由に行うことのメリットの一つに、「開口部を自由に操れる」、ということがあると思います。
例えば、規格型住宅などだと、「一般的な間取り」がすでに決まっていて、「開口部の仕様」も決まっていることがほとんどですね。
- 土地のポテンシャルはそれぞれ違う
具体的には、「どこに抜けを取るか」をどれだけ意識できるかというところだと思いますが、「同じ間取りを設計して、まったく同じ住環境になる」ことはほぼ皆無だと思います。
土地毎に、方角や風環境、日照条件、隣地の建物の状況など、性質がまったく同じということはないからです。なので、「間取りを土地に当てはめる」ということ自体、個人的にはちょっとよくわかりません。だって土地が違うもの。
例えばこれ。
ありがちなLDKですね。勝手な憶測ですが、南側に大きな掃き出し窓、西側(ダイニング)に腰窓という感じでしょう。
でもこれ、よーくみると、大きな掃き出し窓の先に隣の建物がすぐ接近してます。せっかく大きな開口部があるのに、その先にはすぐ建物。しかもお隣さん。
この窓開けますか?実際はカーテンなりを閉めて、そのままじゃないですかね。百歩譲ってレースカーテン。そんなことなら大きな掃き出し窓っていりますか?
そもそも、大きな掃き出し窓のすぐ目の前にソファって使いにくいですしね。。
実際にLDKの面積が広くても、外への広がりがないので、㎡数以上の広がりは得られません。
「間取りを土地に当てはめた」弊害と言えますね。
- 開口部の可能性
例えばですが、うちの高崎の家-niの例。
いろんな手法はあると思いますが、周囲の建物に対して建物の配置角度を合わせずに、角度を振って建てています。
※なぜか、「土地に垂直水平に建てる」ことが普通とされていますが、本来建物の配置計画は自由です。
その大きな理由として、「合わせてしまうと南東の隣家に建物が向いてしまう」ことが大きなデメリットでした。
南東の隣家。2階建て。特にきれいな風景にはなりませんね。。一生隣のおうちの背中を見て過ごすのか。。
青い角度で建てると背中しか見えない。。
ということで角度を振っています。
そうすると、
建物がない、開放的な方向に窓が取れました。
このアングルだと、ちょこっと左の窓からこんにちわしてますね。
このアングルだとまったく見えません。
建物がない方向に開口部を設けることで、実際よりも室内空間が広く感じます。
建物の角度を調整することは、開口部をうまく設える方法の一つですが、建物自体が特殊な形状になっていなくても容易に対処できる便利な手法ですね。
ただし、回転させると方角も変わってくるので、日照の捌き方には注意ですね。
「快適な室内空間」には、「豊かな開口部」です。