開口部(2) | 有限会社 海老原建築

有限会社海老原建築

Column

2024.02.04

開口部(2)

「開口部を自由に操れる」お話。


土地を決める際に、「平坦な方がいい」という神話がありますね。

造成・外構の費用が抑えられたり、インフラの費用がかからなかったりというメリットがあります。


  • 本当に平坦な土地が良い土地なのか

確かに、平坦で造成されている区画整理地は水道や排水などのインフラが整備されていることも多く、「決まった間取り」も当てはめやすい。
そういう意味では「良い土地」なんでしょうね。ただ、だいたいは土地の価格にインフラの整備代も含まれています。「お得」というわけではありません。

何棟か集まった区画整理地ならば、同じようなご家庭が集まるというメリットは確かにありますね。


  • 区画整理地の風景

新しい区画整理地は、合理的に割って収益を確保するという至上命題があるため周囲に緑豊かな公園や遊歩道を用意することは多くはありません。

そうなると、こういう感じです。

殺風景ですね。。
まあ遠くに緑が見えるのでそこに向ければどうでしょうかね。

  • 使えなそうな土地」の可能性

茨城県の土地柄か、頼まれるお施主さんの特徴か、区画整理地ではなくすでに持っている、または親の土地、を活用する案件も多いです。そんなときに、「ここは無理じゃないの・・」と思われそうな土地が割と多い。

実際に、何件か土地を持っていて、どこがいいかという相談があったときの事例ですが、

「A:平坦で障害物の無い土地」
「B:高低差があって木も生い茂っている土地」

こんな事例がありました。

どっちがいいですかね、という相談がありましたが、私は「B」をプッシュしています。



なぜか。

よーく見てみると、土地の先に筑波山が見えるではないですか。。。

あとは、周囲から見られることがなく、落ち着いて過ごせそう。



紆余曲折ありましたが、結果、この案件は「B」に建てることになります。


  • 実例
緑に囲まれた土地 周囲の道路からも視線が通りにくい
南西には田園風景と筑波山
少し西にふって、開口部を筑波山へ

プライバシーの確保がしやすい、開放性のあるプランになりました。

実際にはかなりオーナーさんを説得しましたが、、。。(給水の引き込みがなかなかのM数とか色々)


でもこういう土地だからできる「開口部の取り方」があります。そこを活かせば区画整理地ではできないような「開口部」が出来ます。

夕焼けの筑波山がLDKから望める。。コーヒー飲みたい。

手前の電柱切り倒したいですね。

どんな土地でも、色々な特徴があります。安易にダメと決めつけないで、信頼できる専門家を見つけて一緒に計画をはじめれば「開口部の可能性」を最大限引き出せるかもしれません。