傷 | 有限会社 海老原建築

有限会社海老原建築

Column

2024.01.13

昔、ゼネコンで現場監督(建売戸建住宅が主)をしていた時の建物完成時社内検査で、新人の頃はよく這いつくばっていたる所の傷をチェックしてました。

確か1棟で200か所とかそんな感じでチェックしたような。

じゃあそのチェックした傷はどうするのか。

リペアです。(無垢床の補修とは違います)

当時は、新建材を採用した住宅だったので、だいたいがシート材の建具・枠・フローリングなど。

傷が付いたところをパテで埋めたりして、上から木目やパターンを調色して合わせて描く、という作業だったと思います。当時よく頼んでいた補修屋さんは美大出身だと言ってましたね。

補修屋さんから、「海老原さん細かいからなあー」とか言われて悦に浸ってましたが、いまは這いつくばって傷探しなんてしてません。


なぜなら、「補修すると、経年変化しない」からです。


例えば、フローリング、そうですね、突板フローリングとしましょう、を補修したとすると、経年で表面の突板が焼けて色が変わってきます。

そうすると、補修して埋めたところと元々の突板と色が変わってきます。補修したところはほぼほぼ「焼けない」からです。

何年かすると、「あれ?ここだけ色違うけどなんだろう。。」と謎の跡が出てきます。

なので補修はしません。

無垢のフローリングならば、埋めないで補修することは可能です。(それはまた別の機会に)

ならば色は変わりませんね。

違う材料で埋める、のが経年変化にはよろしくないわけです。

例えば、無垢材をパテ埋めして補修すると、

経年変化でこんなことになります。埋めた当時はきれいなんですけどね。色が合わなくなってモロバレ状態。

表面がシート系の建材であれば、木質系(突板など)の建材よりも経年での色の違いは少ないですが、日射が良く当たる箇所などは違いが出てきやすいと思います。

となると、やっぱり無垢材を活用した方が後々楽です。

傷がついても、中身まで無垢なので「気にしない」ことも可能です。


シート材の巾木やフローリングだと、こんなことになるかもしれません。

無残な巾木くん。。出隅は特にもろい。。悲しい。。

めり込んで中の基材(合板やMDF)が見えてもうどうにもならない状態。

(前述のリペアくらいしか対処不可。でもやるとそのうちばれるかも)

巾木なら、専用のコーナー材とかもありますが、コーナー材も結局シートですしね。

傷に気を使って生活をしないとなかなかきれいに保つのは難しいでしょう。

※シート系の建材が不良品というわけではありません。年々シート材も質がよくなってますし、無論無垢材よりも安価です。なにを取るか、ですね。



なので、やっぱり無垢材を使って、「傷を気にしない」のがベストだと思いますね。

傷や汚れ、シミが合っても、「中身がばれる」みたいなことがなく、むしろ時代を感じて愛着も湧きます。

さらに広葉樹系の無垢材なら、耐久性もあって傷もつきにくい。(また詳しくあとで書きますかね)

うちの事務所の床、オークの無垢床くんです。リノベして1年。傷がまあまあすでについています。

どこでしょう。

ここ!

これですねー。擦り傷。這いつくばってみないと以外とわかりません。

気になるならペーパーでこすってまた塗装すればだいぶわからなくなります。



無垢材を使って、傷は「気にしない」がいいと思いますね。