2024.01.19
天井の高さ(2)
続・天井の話。
私がいつも居室で提案している高さは、「2.2m」や「2.1m」です。
極力低く抑えることで、落ち着く空間になります。逆に中途半端に天井を高くすると、なんと空間が狭く感じます。ほんとです。
この考え方をはじめたのは、建築家 伊礼さんの書籍、「伊礼智の「小さな家」70のレシピ」を読んでからです。5年前、当時設計中の物件「山野の家」はなかなかにコンパクトな住宅でした。設計する上で、小さいながらも居住空間をなんとか快適にできないかと考えていたときに出会った本。
当時はこの伊礼さんの本と、リオタデザイン 関本さんの「おもてなし住宅のつくり方」を読み漁ってましたね。「山野の家」と「上玉里の家」の設計中だったかな。
伊礼さんの書籍で実際に掲載されている手法をここでもやってみましょう。
どうでしょう。
天井が高くなるにつれて、なんだか部屋が狭く見えてきませんか??
注意したいのは、「低ければいい」というわけではないこと。要はバランスだとは思いますが、住宅の居室程度の空間広さでは高い天井はそんなにいらないということでしょうか。
例えば、床面積が200㎡もある図書館の閲覧スペースが天井高2200mmだったとしたらさすがに低いでしょう。書架もあいまって息苦しくなるかもしれません。(まあ設えや視線の抜けでどうにかなるかもしれませんが。)
「高窓から日照を取る」「風景を取り入れる」「吹抜けで上下階を連続させる」など、理由があれば天井が高くても問題はないでしょう。
リビングに光が落ちてますね。奥には北側の山々の遠景が。(リビングの南側にはダイニング)
こういう場合は天井を高くしたりしてます。明確に理由があるからです。
(子供室に2段ベッドを設ける場合なんかも、CH2200だと厳しいですね。)
また、すべて低くするのではなく、ベースを低くして一部だけ高くする、のも効果的です。
和室を低く抑えて、LDKを勾配天井で少し高い部分を設けることで、空間全体に開放性と落ち着きの両立が実現できていると思っています。(寝室や玄関など、他のすべてCH2200)
また、天井が低く抑えられると、建物自体も低く計画でき、プロポーションが整ったり、室容積が無駄に大きくならないので空調効率もベターです。
ただ、設計する側とすれば、天井を低く・建物を低く計画するのはそこそこ面倒。(笑)
なんとなく階高を設定して、なにも考えずに天井高さ2400mmm、がそりゃ楽です。でもそれだと、なんとなく部屋が狭かったり、なんとなく外観が間が抜けた見た目になったり、ということが起こります。
しっかり高さをコントロールして設計してこそちょうどいい空間が生まれるのだと思います。
つまるところ、ただ天井高さを低く設定する、のではなく、建物全体の断面計画をしっかり検討して、無駄のない構造計画を組み、その上で佇まいよく設計する、これがすべてセットでの低天井、ですね。